災害時のために自宅にどんな物品を備えたらよいですか?
一般的にに言われている災害時にないと困るものをまとめます。それぞれ生活スタイルが異なりますのでここにあるすべて用意する必要はないと思っています。必要だとおもった点に留意いただき、ご自身とご家族の健康を守る準備をしてください。
❶自宅に飲料水の確保
飲料水は生命維持に必要不可欠です。水道水が不安定な場合、ボトルウォーターなどを用意し、清潔な状態で保管しましょう。悪質な水源からの水を摂取しないように気をつけましょう。家族の数日間分の水を確保します。1人1日あたりの必要な水量は約2〜3リットルです。理想は3日分の備蓄ですから、1人あたり「1日3リットル×3日分」で9リットルが目安です。
❷自宅に食品の備蓄
非常食や保存食を用意し、栄養を確保しましょう。賞味期限に留意し、定期的に入れ替えることを忘れないようにしましょう。調理ができなくなる可能性があるため、調理が不要なご飯(アルファ米など)、ビスケット、板チョコ、乾パン、缶詰、カップめんなどを準備しましょう。信じられないことですが、被災地では高額で食料を売りつけようとする方がいるようです。
❸自宅避難所での衛生用品を用意
歯ブラシ、マスク2~3枚、必要に応じて紙おむつや生理用ナプキンもそろえておくと安心です。また、トイレットペーパーが3ロールあると、トイレ以外にも緊急時のティッシュペーパー代わりにもなるため、1日に1ロール消費する前提で備えておくと良いでしょう。また、黒い中の見えないビニール袋の用意も良いかもしれません。
❹自宅に薬の確保
必要な薬は常に用意し、必要な情報を持ち歩きましょう。また、処方薬の残量を確認し、不足しないように注意しましょう。担当医に常備薬のストックができるように相談しましょう。
❺自宅に灯火具の用意
電力が供給されない場合に備えて、懐中電灯、ろうそく、マッチ、バッテリー式ラジオなどの灯火具を用意しましょう。
❻自宅に現金の用意
停電するとキャッシュカードが使用できなくなるため、ある程度の現金も用意しておきましょう。持ち運びしやすいように耐火・防水対応のケースにまとめて入れておくのがオススメです。
❼自宅に保険証のコピー
身分証明として、保険証や免許証などのコピーをとっておきます。スマートフォンケースや財布の中に入れておけば、とっさの避難の場合でも持ち出すことができます。
上記の他に首相官邸ホームページの「災害の備えチェックリスト」とは?
その他、上記の他に首相官邸ホームページの「災害の備えチェックリスト」もご覧ください。
災害の備えチェックリスト
災害時のために今どんなことをやっておいた方がよいですか?
上記の物を揃えるのは一般的にとても重要なことです。しかしながら、現代社会に生きる私たちは、もう少し準備ができます。それは大切な書類のデジタル化保存です。物や書類をどこかに保存して災害時に持ち運ぶ準備をすることもよいですが、書類やクレジットカードなどの大切な書類のデジタル化保存しておけばスマートフォンを持ち運べばよいのです。これは、日常生活でもきっと役にたつことです。
お医者さん目線 どんな重要文書をデジタル化するといいの?
どんな書類をデジタル化しておけばいいのでしょうか?ここにお医者さん目線できっと役にたつ用意しておいた方がよい重要な書類デジタル化リストです。スマートフォーンで提示できるようにしておきましょう。
❶身分証明書のデジタル化
マイナンバーカード、運転免許証など写真付きの官公署発行の身分証明書や、パスポートのデジタル化をしておきましょう。
❷クレジットカードのデジタル化
災害時は手持ちのクレジットカードをすべて持ち歩くとこができません。そのため、携帯などから確認できるように手持ちのクレジットカードにいつでも電話連絡でクレジットカート会社と問い合わせできるようにしましょう。
❸健康保険証のデジタル化
災害時も身体の不調時は医療機関の受診が必要になります。医療機関は電子カルテで診療を行なっているいるので、停電になるとカルテが開けません。普段のかかりつけの病院でもあっても、過去のデータの確認できないため、保険証があるとスムーズに事務作業が進みます。保険証がないと10割負担となることがあり災害時の現金確保に問題が生じる可能性があります。家族全員分の保険証、医療症のデジタル化をしておきましょう。
❹処方箋/お薬手帳のデジタル化
災害時でよくかることは内服しているお薬の名前がわからないことです。過去の大災害では、処方がはっきりとしている(お薬手帳)方は、比較的速やかにお薬を入手することができたそうです。処方箋またはお薬手帳をスマートフォンで写真を撮っておきましょう。
❺検査結果のデジタル化
災害時は病院の電子カルテが使えない可能性があります。また、いつもの病院に受診して相談することが困難になることもあります。検査結果やお医者さんの説明文章などが残っていると医師や看護師は非常に助かります。
❻あなたの病歴のデジタル化
医療現場では、お医者さんが問診であなたの身体の歴史を振り返る必要があります。これを病歴を聴取するといいます。必要な情報がいつでもスマートフォンから引き出せると、あなたの医療がスムーズにいきます。実は、病歴を簡単に提示できると、受診している本人の待ち時間だけでなく、医療現場全体の待ち時間の短縮にもつながります。自分の病歴を作っておきましょう。以下の情報があれば何とかなります。
【病歴】
63歳 交通事故で左膝骨折(〇〇病院)
69歳 左鼠径ヘルニアで手術(〇〇病院)
71歳 慢性鼻炎
71歳 高血圧
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【生活習慣指導カルテ】
◯身長167 cm 体重 70kg
◯たばこ 吸わない
◯睡眠 6時間とれている
◯お酒 毎日ビール350ml
◯遺伝 父 肺がん 母 糖尿病
◯アレルギー歴 ペニシリンで皮疹がでたことがある
◯内服中のお薬は、スマートフォーンからお薬手帳を提示
◯検査結果は、スマートフォンから検査結果を提示
お医者さん目線の重要文書のデジタル化リストは災害時に必要な食料や生活必需品ではありませんが、スマホの中に重要書類はぜったいにあったらよいものです。災害時でも災害時でなくてもとても現代社会においてとても重要なことかもしれません。重要書類のデジタル化は今すぐにできることです。デジタル化といってもスマートフォンで写真をとる程度でも十分だと個人的には考えています。準備しておきましょう。
でも重要書類のデジタル化の方法はどうするの?
大切な文書(証明書、保険証券、身分証明書など)をスキャンしてデジタル化したり、スマートフォーンで写真をとり書類を保存したり、クラウドストレージを活用するのが良い方法です。スマホのカメラで書類の写真を撮って、アルバムに保存するという方法が一番簡便だと思います。
Googleの「フォトスキャン」
Googleの「フォトスキャン」などさまざまなスキャン用アプリがあり、手軽にスキャンできるのがポイントです。また、アプリによっては、歪み補正や、書類の文字を自動で読み取るOCR機能、ページ結合機能などさまざまな便利機能がついたものもあります。
複合機やプリンターのスキャナー機能
家にある複合機やプリンターのスキャナー機能を使ってスキャンする方法もありますが、PCやデータを持ち歩く必要がでてきます。
お勧めの重要書類のデジタル化の方法は?
僕のおすすめは、スマホのカメラで書類の写真を撮って、アルバムに保存するという方法が一番簡便だと思います。また、スマホデータがストレージされていると良いと思います。例えば、僕はI-phoneユーザーで、有料のiCoudでデータ保存しています。また、写真はGooleフォトに自動保存しています。また、家族共有のLINEなどに写真を送っておくのも簡便でよいかもしれません。大切なことは、スマートフォンで重要書類をいつでも引き出せるようにしておくことです。
その他、米山先生が絶対に準備する災害対策とは?
首相官邸の災害の「備え」チェックリストにも書いていないけど、医師の僕が絶対に準備する災害対策とはなんでしょうか? たしかに、自宅にそろえる物品リスト、書類のデジタル化もとても大切です、でも、それだけでは不十分です。これが僕は一番重要かもしれないと思っています。それは、スマートフォンの電力確保です。スマートフォーンは、従来のラジオより個人の知りたい情報が手に入り、ライトの変わりにもなります。SNSを使った安否の確認、家族との連絡、SOSの発信、デジタル化書類の提示、これら全てはスマートフォンの電池があるからできるのです。
想像してみてください。災害時に連絡がとれない家族に何度も連絡をしたくなりませんか?その時、スマートフォンの電池が残り5%だったらどうしますか?災害時にスマートフォンの充電は必須です。
災害時にスマートフォンの電力をどうやって確保するか?
災害時の初期は、水もパンもティッシュペーパーもマスクなくても生きていられるものです。でも、災害時の初期ほど、情報収集や連絡など、緊急時ほどスマートフォンだと思います。現代社会における災害時にスマートフォンが欠かせないと思います。ここでは、スマートフォンの電力確保の方法をあげておきます。
❶携帯用充電器(充電式モバイルバッテリー)
充電用モバイルバッテリーは、スマートフォンや他のデバイスを充電するのに便利な手段です。事前に充電しておき、必要な時に使用できるようにしておきましょう。毎日スマートフォンを充電している方は、災害時の夕方は電池切れになる可能性が高いです。普段から小型モバイルバッテリーをバックに入れて使用する習慣をつけましょう。ちなみに、令和6年能登半島地震の1月1日の災害日に、僕はアマゾンでこちらを1個購入しました(※この製品がお勧めという意味ではございません)。
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❷携帯用充電器(乾電池式のモバイルバッテリー)
災害で圧倒的に威力を発揮するのは、乾電池式のモバイルバッテリーでしょう。巨大地震が発生すると、被害の大きい地域では、約9割が直後に停電になると想定されています。被害状況や地域によって異なりますが、電気の復旧には、東日本大震災、阪神・淡路大震災においても6日ほどかかりました。避難所生活でスマートフォンの充電が期待できない可能性があります。乾電池式のモバイルバッテリーが家族で一つあれば順番で充電することができますので、最低限、家族で1個だけでも用意をしておいてよいと思います。ちなみに、1月1日の災害日に僕はこちらを1個購入しました(※この製品がお勧めという意味ではございません)。
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❸電池の購入
乾電池のモバイルバッテリーに合わせた乾電池を購入しておきましょう。いざという時に備蓄電池が無かったり、切れてしまっていては、防災グッズを準備していても役に立ちません。普段から家にちょっと多めに備え、古い電池から使い、使った分を新しく補充しましょう。
❹ソーラー充電器
太陽光を利用して電力を生成するソーラー充電器は、災害時に役立ちます。日光がある場所に設置し、スマートフォンを充電できます。
❺自動車からスマートフォンの充電:
車のシガーライターソケットを利用してスマートフォンを充電できるアダプターを用意しておくことも考えましょう。車のバッテリーから電力を供給できます。
圧倒的なお勧めは、乾電池式のモバイルバッテリーです。電池さえあれば、家族で一つあれば順番で充電することができますし、停電してもスマートフォンの充電できるからです。
災害時に向けたスマートフォンの設定とは?
たしかに災害時にスマートフォンの電力の確保はとても重要です。でも、まだ手があるのです。それは、スマートフォンの消費電力を抑えることです。下に消費電力を抑える3つコツを記載します。
❶節電モードにする: 災害時には電力を節約するために、スマートフォンの節電モードを有効にしましょう。明るさを下げたり、不要な通知をオフにすることができます。
❷通信の最適化: スマートフォンの通信を最適化することでバッテリー寿命を延ばせます。Wi-Fiを利用したり、不要なアプリやサービスの自動更新をオフにしましょう。
❸安全でつながりやすい場所で使用する:繋がりにくい環境ではスマートフォンの電池を消耗してしまうばかりか、会話が途切れてしまいます。通話状況が悪い場所からつながりやすい場所に移動しましょう。
繋がりにくい環境ではスマートフォンの電池を消耗してしまいます。つながりやすい場所に移動に移動しましょう。
災害時のためにどんな話し合いをしておいた方がよいですか?
家庭によって生活スタイルはさまざまです。そこで、普段の生活を考えながら、災害時に困ることを家族で話し合えば必要なことが見えてきます。具体的に挙げておきます。
❶非常時の連絡方法を決めておく
連絡方法をどのようにするかを話し合っておきましょう。SNS、LINEなど使うアプリを決めておきましょう。非常時は家に帰ってくることが予想されます。ドアにメモ書きを残しておくのもよいかもしれません。
❷非常時の避難場所を決めておく
スーパーや塾など家族がよく出かける所からの避難場所なども決めておきましょう。私の家族は、何かの災害時で連絡が取れない時は、一番下の息子の学校に集合することになっております。
❸非常時の家を出る前にブレーカーをOFFにする
火災の予防にブレーカーをOFFにしたり、ガスの元栓を閉めましょう。
最後に
今回の「令和6年能登半島地震」で被災された方々に、心よりお見舞い申し上げます。みなさまの安全と健康を心よりお祈り申し上げます。
日本循環器学会の災害時循環器疾患の予防・管理に関するガイドラインでは、2 週間分の薬を携帯することや、病歴のわかる手帳やお薬手帳を持ち歩くよう勧めております。首相官邸の災害の備えチェックリストにも書いていない、医者目線の災害対策は3つです。1つ目は、2週間分の常備薬のストックしておく、2つ目は、お薬の情報や個人情報がスマートフォンで提示できるようにしておく、3つ目は、スマートフォンの充電機器、とくに乾電池のモバイルバッテリーです。
また、災害時は、災害は精神的にも負担がかかります。不安やストレスを感じた場合、家族や友人と話すこと、リラックスの時間を設けることが大切です。皆さま、災害時には冷静に行動し、健康を守るために、今から最善の努力をしてください。
令和6年能登半島地震の被災のニュースを見るたびに、「横浜市・川崎市に住む我々も、災害の備えが必要だ」と被災地から教えてもらっている気がしました。内科医の僕にできることは何であろうか考え続けました。私ができることは、インターネットから情報を収集し、ここにまとめることだと思いました。医者目線の災害対策。大切な方にこのURLをシェアください。
院長