50代女性。他院で血圧の治療を受けていましたがこちらでも血圧を診て欲しいです。高血圧と動悸の相談をしたいです。紹介状がありませんが受診しても大丈夫ですか?現在通院している先生には本当よく管理してもらっています。できれば、かかりつけの先生に内緒というわけでないのですが、血圧が心配なので診て頂きたいです。
お悩み相談
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50代女性。他院で血圧の治療を受けていましたがこちらでも血圧を診て欲しいです。高血圧と動悸の相談をしたいです。紹介状がありませんが受診しても大丈夫ですか?現在通院している先生には本当よく管理してもらっています。できれば、かかりつけの先生に内緒というわけでないのですが、血圧が心配なので診て頂きたいです。
ご質問ならびに受診をありがとうございます。もちろん、当院での血圧の相談は紹介状がなくても受診できます。ご安心ください。血圧の診断と治療が決定しましたら、前の先生に戻りましょう。前医に戻る際は、こちらから前の先生に十分配慮した情報提供書を作成いたしますので、前医に戻りたいと遠慮なくお伝えください。
一年前、田園都市高血圧クリニックに初診で受診日。紹介状ないことや前医に相談もなくいらしたためか不安な様子でしたが、血圧や動悸をなんとかしたいという想いが伝わってきた診察室での様子です。
「40歳前から血圧の治療を開始されていたんですね。心電図検査に異常があります、血管もすこし硬いです、血圧の影響かもしれません、家族には高血圧の方がいないとすると、血圧の遺伝もなさそうですね」
このように肥満やメタボに関係がなく、30代からの高血圧は、通常の高血圧とは異なる場合があるので、注意が必要なんです。この病歴から、僕たち医師が診るべく身体所見があります。それは、「足」なんです。
初診時の僕の頭の中はこんなことを考えていました。
「ん、下腿に浮腫がない。高血圧なのに肥満がない、むしろ、痩せ型。これは原発性アルドステロン症の高血圧の可能性がある。よし原発性アルドステロン症の血液検査をしよう」
「あ でも、バルサルタン錠20mg、ベニジピン塩酸塩錠4mgを内服している、今すぐに検査できない」
僕は、仮名)佐藤さんに説明しました。
「佐藤さん、一度、内服をニフェジピン40mgに変更して1ヶ月後に血液検査をしましょう、高血圧の原因が原発性アルドステロン症かもしれません、バルサルタンはとても良いお薬なんですが、血圧の原因をマスク(かくして)してしまう可能性があるんです、バルサルタンのようなARBといタイプのお薬を内服の方は、本当は発性アルドステロン症なのに正常値がでてしまい、疾患を見落とすことがあるんです、ですから、まず、バルサルタンを一旦やめて、ニフェジピン40mgに変更して1ヶ月後に血液検査をしましょう。」
そして、1ヶ月がすぎ、血液検査を行い翌週の結果説明の外来の日のことです。
「血液検査の結果は、アルドステロン/レニン比が313(正常値200未満)で、原発性アルドステロン症の高血圧の可能性が高いです、原発性アルドステロン症は、副腎という腎臓の上にある臓器からアルドステロンというホルモンがたくさん分泌されるため高血圧になる病気です。」
「しかしながら、もう一度、検査をするとアルドステロン/レニン比が正常になる方もおります、当院で再検査することもできます、でも、原発性アルドステロン症は大学病院レベルで診断と治療を考えた方がよいお病気です。大学受診時に大学でもアルドステロン/レニン比を検査します。当院で再検査するよりも大学病院で再検査する方がよいと思います。」
「佐藤さん、原発性アルドステロン症の疑いが高いので大学病院で、より専門的な検査判断をしてもらいましょう。ご安心ください、大学病院に紹介状を作成しますね。」
そして、数ヶ月がすぎ、大学病院の検査結果が郵送で当院に送られてきました。
「米山先生、佐藤さんは入院して精査し高血圧の原因は原発性アルドステロン症でした。アルドステロンを抑えるお薬を開始しました。その後は経過順です。大学は1年に一度、診察させて頂きますので、田園都市高血圧クリニックで通院をよろしくお願いします」
通常の高血圧(本態性高血圧)とは異なり、副腎からの自律性アルドステロン過剰分泌により高血圧を呈する疾患で代表的な二次性 高血圧です。副腎にできた腫瘍のことがあります。
高血圧患者における 原発性アルドステロン症の有病率はプライマリケア施設で 3~12%,専門施設では 5~29% と報告されています。(日本内分泌学会雑誌 Vol. 97 Suppl. October 2021)
ます血液検査でスクリーニン グをします。アルドステロンとレニンの比(ARR)> 200(CLEIA 法)かつ血中アルドステロン濃度(PAC [CLEIA 法])≧ 60 pg/mL でスクリーニング陽性と判定します。その他、 お腹の検査が必要になります。副腎腫瘍の検出のため副腎 CT を施行することが多いです。
利尿薬投与の有無によらない低カリウム血症あるとき
治療抵抗性で薬が効かない高血圧のとき
40 歳未満での高血圧の方
未治療の高血圧で血圧が150/100 mmHg 以上の方
副腎腫瘍合併の方
若年での脳卒中を発症してしてしまった方
若年での左室肥大がある症例方
睡眠時無呼吸症候群の方など
側性原発性アルドステロン症(副腎腫瘍)では,高血圧の正常化,臓器障害 の改善と進展防止が期待できるため,患側副腎摘出術をすることがあります。両側性 原発性アルドステロン症や手術の適応・希望がない場合は,MR 拮抗薬(スピロノラクトン,エプレレノン,エサキセレノン など)を中心とする薬物治療 が選択されます。
通常の降圧薬により血圧管理が良好な原発性アルドステロン症 でも,アルドステロン自体に腎臓や心臓などの他組織傷害性があるためMR 拮抗薬(スピロノラクトン,エプレレノン,エサキセレノン など)の内服治療を継続することが望ましいとされています。(日本内分泌学会雑誌 Vol. 97 Suppl. October 2021)
原発性アルドステロン症は高血圧です。みなさまの高血圧も原発アルドステロン症かもしれません。当院で原発性アルドステロン症のスクリーニング陽性になった方は大学病院レベルで精査をして頂きます大学病院で診断され治療が決まった後は、近隣のかかりつけクリニックの出番です。血圧の管理と血清カリウム濃度の正常化,レニン抑制の解除を目安に MR 拮抗薬(スピロノラクトン,エプレレノン,エサキセレノン など)を処方します。ただMR 拮抗薬を処方するだけでなく重要なことがあります。それは、アルドステロンに伴う腎機能障害などの臓器障害の改善や増悪に関する経時的な検査をすることです。他院で血圧の治療を受けていましたがこちらでも血圧を診て欲しいです、紹介状がありませんが大丈夫ですか?というお問い合わせがございます。ご安心ください。血圧の診断と治療が決定しましたら、こちらから前の先生に十分配慮した情報提供書を作成いたしますので、安心して前医に戻れるようにいたします。もとの先生に戻りたいときには戻りたいとはっきりと言って頂ければ嬉しいです。大切なのは医療機関への遠慮ではなく高血圧の原因が何かだと思っています。当院でみなさまをかかえることはございませんので気軽にご相談ください。
院長
院長があなたのお悩みにお答えします。
お返事には2週間ほどお時間をいただいております。
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例えば、38℃の熱が出たのですが、このまま様子を見ていて大丈夫でしょうか?
このように今すぐに回答を欲しい方のご相談はお受けできません。