お悩み相談|田園都市高血圧クリニック かなえ|たまプラーザ駅南口より徒歩1分の内科・循環器内科

たまプラーザ駅南口 徒歩1分
〒225-0003 神奈川県横浜市青葉区新石川3丁目15-3 2F
アイコン045-913-0505
LINEで予約
オンライン診療
求人情報
ヘッダー画像

お悩み相談

お悩み相談|田園都市高血圧クリニック かなえ|たまプラーザ駅南口より徒歩1分の内科・循環器内科

相談内容

40代男性。なぜ脂質異常を診断し、治療するすことが必要なのですか?健康診断で異常を指摘されました。脂質異常症は何を食べればいいですか?

米山先生からの回答

脂質異常症でご質問を頂きありがとうございます。たまプラーザ駅の内科、循環器、糖尿病の田園都市高血圧クリニック院長の米山喜平です。脂質異常症(脂質代謝異常)は、血液中の脂質(脂肪)の濃度が正常よりも高いまたは低い状態を指します。脂質は体内の重要な栄養素であり、正常な健康を維持するために必要ですが、脂質異常が放置されると健康に悪影響を及ぼす可能性があります。では、脂質異常症の治療やどんなものを食べればよいかについて解説をいたします。

 

脂質異常とはどういうことですか?

高LDL血症(悪玉コレステロール)、高TG血症(中性脂肪)、低HDL血症(善玉コレステロール)の場合を脂質異常症と診断します。最近は、総コレステロールは測定しなくてよいですか?と聞かれます。当院でも、総コレステロールの測定はおこなわず、コレステロールの中身(LDL、中性脂肪、HDL)を測定します。

脂質異常の治療をしなければならない理由はなんですか?

脂質異常症は動脈硬化疾患の原因になります。動脈硬化硬化疾患は総死亡の約22%を占め、生活の質が下がってしまう重篤な病気です。早期に介入することで心筋梗塞や脳梗塞などの発症の予防ができます。脂質異常症を改善することで動脈硬化性疾患を予防することができるのです。

以下に、脂質異常の診断と治療が必要な理由をいくつかまとめます。

  1. 心血管疾患のリスク増加: 高脂血症(高コレステロール血症や高中性脂肪血症)は、動脈硬化や冠動脈疾患などの心血管疾患のリスクを増加させる要因とされています。血中の脂質が異常なレベルにあると、動脈内に脂質が沈着し、動脈壁が炎症を起こして狭窄(動脈硬化)する可能性があります。これにより、心筋梗塞や脳卒中などの重篤な病気のリスクが高まります。

  2. 早期発見と予防: 脂質異常はしばしば症状が現れにくいため、患者は自覚症状がないまま進行することがあります。しかし、定期的な健康チェックや血液検査によって脂質異常を早期に発見し、適切な処置を行うことで、重篤な合併症を予防することが可能です。

  3. 健康の維持: 正常な脂質バランスは細胞膜の構成要素として重要であり、脂質はエネルギー源としても機能します。脂質異常が持続すると、細胞の正常な機能やエネルギー供給に支障をきたす可能性があります。適切な脂質バランスを維持することは、全体的な健康を保つために重要です。

  4. 健康リスクの低減: 脂質異常は他の健康リスクと結びついていることがあります。例えば、2型糖尿病や高血圧などの代謝疾患と関連があり、これらの疾患と組み合わさることで健康リスクがさらに増加する可能性があります。

  5. 治療の可能性: 脂質異常は適切な管理と生活習慣の改善によってコントロールすることができます。食事療法や運動、必要に応じて薬物治療を行うことで、脂質異常を改善し、健康リスクを低減することができます。

以上の理由から、脂質異常の診断と治療は健康の維持と疾患の予防にとって重要なステップです。定期的な健康チェックと適切な対策を行うことをおすすめします。

 

動脈硬化の診断がどうるのですか?

血管年齢と頸動脈エコーで診断することができます。下の写真の白いところが動脈硬化です。

どうしてコレステロールが高くなるのですか?

コレステロールが高くなったり低くなったりする原因は様々です。家族性のコレステロール血症であったり、他の疾患でコレステロールが高くなる続発性脂質異常症もあります。例えば、甲状腺機能異常、ネフローゼ症候群、原発性胆汁性胆管炎、閉塞性黄疸、糖尿病、クッシング症候群、褐色細胞腫、神経性食思不振症や薬剤(利尿剤、β遮断薬、ステロイド、経口避妊薬、サイクロスポリンなど)です。もう少し具体的に説明します。

 

高トリグリセライド血症(中性脂肪が高い、高TG血症)になりやすい方の特徴は?

  1. 肥満 過剰なカロリー摂取や運動不足によって、体内のエネルギーが中性脂肪として蓄積されることがあります。
  2. 不適切な食事 高脂肪食や高糖質食、特に、糖分が多く、飽和脂肪酸やトランス脂肪酸を多く含む食品。
  3. 運動不足 運動不足は中性脂肪の蓄積を促進する要因となります。
  4. 遺伝的要因 遺伝的な傾向も高TG血症のリスクを増加させる要因となります。
  5. 代謝疾患 2型糖尿病や内分泌異常など
  6. 喫煙 喫煙は中性脂肪の代謝を悪化させ、高TG血症のリスクを増加させることがあります。
  7. アルコール摂取 過度のアルコール摂取は高TG血症を引き起こす可能性があります。
  8. 腎臓疾患 腎臓の機能が低下している場合、中性脂肪の排泄が減少し、高TG血症のリスクが高まることがあります。
  9. その他 妊娠、自己免疫疾患(全身性エリテマトーデス)、神経性食思不振症、多発性骨髄腫、アミロイドーシスなど
  10. 薬剤 利尿剤、ステロイド、エストロゲン、経口避妊薬、免疫抑制剤、抗精神病薬など

 

 

低LDLコレステロール血症になりやすい方の特徴は?

  1. 重症肝疾患 肝臓はコレステロールの産生や脂質の代謝に関与しています。重症肝疾患において、肝臓の機能が低下すると、コレステロールの合成が減少することがあります。
  2. 甲状腺機能亢進症 甲状腺ホルモンの過剰な分泌によるLDLコレステロールの代謝も促進され、LDLコレステロールが低下する可能性があります。
  3. 副腎不全 副腎皮質からのコルチゾールとアルドステロンの分泌が低下します。コルチゾールの不足により、コレステロールの代謝が変化し、LDLコレステロールの産生や代謝に影響が出る可能性があります。
  4. 吸収不良 吸収不良によって体内に摂取される栄養素が不足すると、エネルギーや栄養素の供給が制限されるため、LDLコレステロールの合成が減少する可能性があります。
  5. 栄養不良 脂質は食事から摂取され、消化器官で脂肪酸として分解されて吸収されます。吸収不良が起こると、脂質の吸収が十分に行われず、体内に必要な脂質が不足することがあります。
  6. 悪性腫瘍 特に進行がんは、腫瘍消耗性状態を引き起こすことがあります。これは体重の減少、筋肉の減少、栄養不良などを特徴とする状態で、これによってコレステロール含む栄養素の吸収や代謝が変化する可能性があります。
  7. 慢性感染症 腸内微生物が炎症反応や免疫応答に影響を与えたり、体内のエネルギーとしてコレステロールが利用されることがあります。これによって体内のコレステロールが減少し、LDLコレステロールの濃度が低くなる可能性があります。
  8. 慢性炎症性疾患 長期間にわたる慢性炎症状態(例: ライム病やリウマチなど)は、LDLコレステロールが低下する原因となることがあります。など

 

低HDLコレステロール血症になりやすい方の特徴は?

  1. 喫煙 喫煙によって体内の脂質代謝や血管機能(血管機能を損傷し動脈硬化になる)が変化し、HDLコレステロールの代謝に影響を与えるからです。HDLコレステロールの合成や分解、輸送が変化し、HDLコレステロールの濃度が低下する可能性があります。
  2. 肥満 肥満によって体内の脂肪組織が増加し、脂肪細胞からの脂肪酸の分泌が増加します。これによって、HDLコレステロールの代謝が変化する可能性があります。
  3. 運動不足 運動はHDLコレステロールの輸送機能を向上させることが知られています。運動によってHDLコレステロールが組織内でのコレステロールの収集や逆コレステロール輸送(コレステロールを体外に排出するプロセス)が促進されるため、運動不足はこれらの機能の低下につながる可能性があります。
  4. 糖尿病 糖尿病患者の多くはインスリン抵抗性を持っており、体内のインスリンの効果が低下しています。高血糖状態は脂質代謝に影響を与えることがあり、HDLコレステロールの代謝にも影響を及ぼす可能性があります。高血糖は酸化ストレスを増加させることがあり、これがHDLコレステロールの機能を低下させる可能性があります。
  5. 自己免疫疾患 自己免疫疾患は免疫系が正常な組織や細胞を攻撃する異常な免疫応答を引き起こすことがあります。この免疫応答の活性化によって炎症が引き起こされる場合があり、炎症がHDLコレステロールの代謝に影響を及ぼす可能性があります。
  6. 重症肝疾患 肝臓はコレステロールの合成や脂質の代謝に関与しています。重症肝疾患によって肝臓の機能が低下すると、コレステロールの代謝が影響を受け、HDLコレステロールの合成や代謝が変化する可能性があります。
  7. 慢性腎臓病(CKD)腎臓の機能障害による脂質代謝の変化や炎症反応の影響が関与しているためです。
  8. 栄養不、外科手術、全身性炎症疾患の急性期 栄養不良によって脂質の摂取量が不足すると、体内でのコレステロール合成が減少する可能性があります。コレステロールはHDLコレステロールの前駆体として重要な役割を果たしており、その合成が減少することでHDLコレステロールの合成にも影響を及ぼす可能性があります。
  9. 薬剤(ステロイド、β遮断薬、プロブコール)

 

 

コレステロール値はいくつがいいのですか?

コレステロール値の目標数値は、そぞれぞれ異なります。動脈硬化が少ない低リスクの方であればLDL160未満、中等度リスクの方であればLDL140未満、高リスクの方はLDL100未満となります。また、脳梗塞後、冠動脈疾患の方は、LDL70未満とさらに厳しく低下させる必要があります。リスクの評価は、血圧、血糖値、コレステロール値、喫煙の有無、年齢、性別、動脈硬化の有無で医師が判定いたします。

コレステロールを下げるにはどのような食事がよいですか?

  1. 食べすぎを控え適正な体重を維持できる食事
  2. 牛脂、ラード、バター、乳製品控える
  3. 魚、大豆の摂取を増やす
  4. 野菜、海藻、きのこの摂取を増やす
  5. 肥満がなければ果物やナッツを適度に摂取する
  6. 精製された炭水化物を減らす
  7. 塩分を控える
  8. アルコールの摂取量を減らす

 

コレステロールを下げるにはどのような運動がよいですか?

運動不足がある方は、運動習慣を作りましょう。

 

脂質異常症の治療のイメージ

◯冠動脈疾患やアテローム血栓性脳梗塞の既往がない48歳の女性。LDLが164で受診した。高血圧がなく糖尿病もない。心電図も正常で血管年齢も正常であった。頸動脈エコーで動脈硬化もなかった。自覚症状もなく低リスクと診断しLDL160未満を目標値にした。体組成計にて脂肪が1kg多い肥満型と診断した。食事療法を指導して3か月後にLDLを再検査することにした。

 

◯冠動脈疾患やアテローム血栓性脳梗塞の既往がない45歳の女性。LDLが180で受診した。高血圧がなく糖尿病もない。心電図も正常で血管年齢も正常であった。頸動脈エコーで動脈硬化もなかった。喉、首の腫れがあった。血液検査、甲状腺の超音波検査にて甲状腺機能低下症と診断した。LDLの高値の原因に甲状腺疾患の関与があると診断した。体組成計で標準型で肥満がなく、甲状腺の治療がコレステロールの治療となった。

 

◯冠動脈疾患やアテローム血栓性脳梗塞の既往がない65歳の女性。LDLが174で受診した。高血圧がなく糖尿病もない。心電図も正常で血管年齢も正常であった。体組成計では運動不足型と診断され、運動療法がよいと判断し、運動をしてもらうように指導した。しかしながら、頸動脈エコーで動脈硬化がありピタバスタチン1㎎を一日一回内服を開始した。

 

◯冠動脈疾患やアテローム血栓性脳梗塞の既往がない58歳の男性。LDLが187で受診した。高血圧があった。心電図も正常で血管年齢も正常であった。体組成計では肥満型であった。体重を適切にする食事療法を開始した。肥満が原因の脂質異常症と高血圧の可能性があり、ダイエットが一番よいと診断した。頸動脈エコーで動脈硬化があったのでピタバスタチン1㎎を一日一回内服を開始した。また、血圧も高くアムロジピン5㎎を開始した。

 

◯狭心症でステント治療後で通院中の57歳の男性。ピタバスタチン4mgでLDLが64。心疾患の目標値LDL70未満を達成している。血液検査でピタバスタチンの副作用もなく順調に治療ができている。

 

最後に

「私のコレステロールの数値でお薬を飲むのですか?」と脂質異常症で受診の方によく聞かれることがあります。血圧、血糖値、動脈硬化がなければ多くの場合、すぐに治療をする必要がないことが多いです。田園都市高血圧クリニックでは、体組成計を用いて肥満やダイエットの指導を行い治療をしていきます。コレステロール値は一度の結果をみて治療を決めるものでなく、経過をみて治療をしていくものです。しかしながら、LDLが200を超える場合には内服を考慮してもよいと思います。また、体重を適切にダイエットしてもコレステロール値が高い場合には、遺伝や年齢の影響と考えます。お薬を考慮するのも悪くないと思います。なぜなら、動脈硬化性疾患はコレステロールを下げると予防ができるからです。スーパーでコレステロール下がる食べ物や飲み物、サプリがあれば買いますよね。コレステロール下がれば買いますよね。お医者さんが処方するお薬はコレステロールが下がります。サプリを買うけどお薬は飲まないという方が非常に多いのですが、大切なのは、サプリかお医者さんのお薬かではなく、LDLコレステロール値が低下するかどうかです。生活習慣を改善する、いろいろ試してみる、その結果を知るためには、LDLコレステロール値を血液検査で測定しなければなりません。当院は採血検査外来コレステロール外来がございますので気軽にご相談下さい。

院長

院長があなたのお悩みにお答えします。
お返事には2週間ほどお時間をいただいております。

今すぐに回答を欲しい方のご相談はお受けできません。
例えば、38℃の熱が出たのですが、このまま様子を見ていて大丈夫でしょうか?
このように今すぐに回答を欲しい方のご相談はお受けできません。