40代女性。はじめまして。2022年4月上旬に3度目のコロナワクチン接種を受けた後、数日間、頻脈のような主に入浴中みぞおち辺りに座り込むか横になるかどちらにせよしばらく動けない程度の強い痛みがありました。そのような痛みが起きなくなってからは、代わりに胸の真ん中直径15cmの範囲で圧迫感のある痛みが絶えず続いています。痛みの強さは日により波はあるものの呼吸は3度目のワクチン接種前と比べて半分ほどで、常に呼吸が浅い感じです。元々20代後半から始まった生理や排卵付近に起きる胸部のかなり強い神経痛に悩んでいて、患部も重なる為、それと合わさって辛い状態です。放っておいてよくなる気がしなくて不安ですが、家庭の事情で気軽にお医者へも行けません。ですが、万が一の場合は何科へ受診をしたらよいか教えて下さい。
はじめまして。たまプラーザ駅前にある田園都市高血圧クリニックの院長、米山喜平と申します。専門は内科・循環器・糖尿病です。ご相談いただきありがとうございます。コロナワクチン接種後の体調不良が続いているとのこと、不安が解消されない状況だと思います。家庭の事情で気軽に医療機関を受診することが難しく、どの科に行くべきかのアドバイスを求めている点、理解いたしました。そうしたすぐに受診ができない環境も、さぞかし心配されていることと思います。結論から申しますと、神奈川県のワクチン接種後の相談センター(電話番号045-285-0719)がございます。こちらに連絡して相談さえると受診前に相談ができると思います。さらなる詳しい情報を下記に記載いたします。ご参考になさってください。ご質問ありがとうございました。不安が少しでも楽になりますように。
どの科に行くべきか?
まずは身近な医療機関や接種を受けた医療機関で診ていただくことになります。受診すべき科を参考にしてください。
内科: 呼吸の問題や胸の痛みの原因を調べるためには、まずは内科を受診するのが良いかもしれません。
循環器科: 胸の圧迫感や痛みが心臓に関連している可能性がある場合。
婦人科: 生理や排卵時の症状と関連している場合。
総合診療内科: ワクチン接種後に現れる副反応や後遺症に関しても、総合診療内科は患者の全体像を把握しつつ、適切な診療やアドバイスを提供することができます。
早急な対応が必要: 継続的な胸の痛みや呼吸困難は、深刻な問題の兆候である可能性も考えられます。特に急性の症状が出た場合や症状が悪化した場合は、早急に医療機関を受診することを強くおすすめします。
神奈川県新型コロナワクチン副反応協力医療機関はどこ?
以下に新型コロナワクチン副反応に対応している病院を示します。受診前に必ず電話をしてお問い合わせください。
横浜
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横浜市立大学附属病院
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横浜
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県立こども医療センター
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横浜
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昭和大学藤が丘病院
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川崎北部
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聖マリアンナ医科大学病院
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川崎南部
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川崎市立川崎病院
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相模原
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北里大学病院
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横須賀・三浦
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横須賀共済病院
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湘南東部
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藤沢市民病院
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湘南西部
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東海大学医学部付属病院
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県央
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海老名総合病院
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県西
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小田原市立病院
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ワクチン接種後に後遺症や副反応に関する相談窓口はこちらです!!
神奈川県新型コロナワクチン副反応等相談コールセンター
電話番号 045-285-0719(24時間対応)
対応内容 接種後の継続的に生じた副反応にかかる相談など、医学的知見が必要となる専門的な相談
(個別の医療機関の紹介はしていません。診断を希望される場合は、かかりつけ医や接種した医療機関にご相談ください。)
入浴中にみぞおち辺りで強い痛みが現れ、しばらく動けない状態になる?
これらの症状は多くの異なる疾患や条件の可能性が考えられます。以下はその症状の原因となる可能性のある疾患や病状、および必要な検査をいくつか示します。
1)心臓関連の疾患:
心筋梗塞: 特に胸の中心や左側に痛みを伴う場合、心筋梗塞の可能性が考えられます。
必要な検査: 心電図、トロポニン血液検査、心エコーなど。
2)狭心症: 短時間の胸痛が起こるが、心筋梗塞まで至らない状態。
必要な検査: 心電図、トレッドミル検査、心カテーテル検査など。
3)胃腸関連の疾患:
胃潰瘍や胃炎: みぞおち周辺の痛みの一因として考えられる。
必要な検査: 内視鏡検査、ヘリコバクターピロリの検査など。
4)胆石症や胆道炎: みぞおちや右上腹部の痛みが特徴。
必要な検査: 超音波検査、血液検査など。
5)呼吸器関連の疾患:
肺塞栓症: 肺の血管に血栓が詰まることで起こる疾患。
必要な検査: 肺のCT、D-ダイマーの血液検査など。
6)胸膜炎: 肺の周りの胸膜の炎症。
必要な検査: 胸部X線、胸部CTなど。
7)筋肉・骨関連の疾患:
肋間神経痛: 肋骨の間を走る神経が圧迫されることで痛みが生じる。
必要な検査: 臨床診断が中心で、特定の画像検査は必要ない場合も多い
8)不安障害や過換気症候群:
胸の圧迫感や呼吸困難などの症状が出現。
必要な検査: 心電図、血液検査などで他の原因を除外する。
このように、みぞおち周辺の痛みの原因は多岐にわたるため、専門家の診察と検査が必要です。症状が出現した場合、自己診断や自己治療を避け、必ず医師に相談してください。
排卵付近に起きる胸部の神経痛
20代後半から生理や排卵付近に起きる胸部の神経痛。このような症状に対する可能性のある原因として考えられる疾患や状態、およびそれに関連する検査について以下に示します。
1)乳腺疾患:
乳腺炎: 乳房の炎症や感染。
検査: 乳房の超音波、マンモグラフィ。
2)月経前症候群(PMS)や月経関連乳腺疾患: 生理前後に乳房の張りや痛みが出現する。
検査: 臨床診断が中心。乳房の超音波で他の疾患を除外することもある。
3)心臓関連の疾患:
通常、生理や排卵と関連して胸痛が起こることは少ないが、狭心症や心筋梗塞などの心疾患の可能性も否定できない。
検査: 心電図、心エコー、トレッドミル検査など。
4)胸壁痛症候群:
胸壁の筋肉や骨、関節の炎症や障害。
検査: 臨床診断が中心。特定の画像検査は必要ない場合もある。
5)神経疼痛:
皮膚の神経に由来する疼痛。
検査: 神経伝導検査やMRIなど。
6)その他の原因:
胃腸関連の疾患、呼吸器疾患、筋肉骨格系の疾患なども考慮する必要があります。
最初のステップとして、症状の出現のパターンや持続時間、関連する他の症状などを詳細に伝えることが大切です。一般的には、病歴を取りながら臨床診断を行い、必要に応じてさまざまな検査を行って原因を特定することが多いです。
ワクチン接種後に後遺症が生じる理由
実は新型コロナワクチン接種後の副反応はの実態等は明らかではありません。このため、厚生労働省は、新型コロナワクチンとの因果関係の有無にかかわらず、全ての都道府県において、相談に対応できる窓口の設置と専門的な医療機関を配置、実態の把握をする等の必要な研究を行っています。神奈川県のワクチン接種後の副反応の相談センターは、上記の通り、神奈川県新型コロナワクチン副反応等相談コールセンター(電話番号045-285-0719)になります。
ワクチン後に熱が出たら、どうすればよいですか。
接種後に発熱や痛み等の症状が起きた時の対応を下記に示します。
【発熱や痛み】
- 市販の解熱鎮痛薬(アセトアミノフェンや非ステロイド性抗炎症薬(イブプロフェンやロキソプロフェン等))で対応いただけます。
- 発熱時には、水分を十分に摂取することをお勧めします。
- 妊娠・授乳中の方や胃潰瘍・腎機能障害・喘息などの持病のある方は、薬剤師や医師にご相談ください。
【かゆみや発赤】
- かゆい場合は冷やしたり、抗ヒスタミン剤やステロイドの外用薬(軟膏など)を塗ると、症状が軽くなります。こうした成分は市販の虫刺されの薬などにも含まれています。
これまでに認められている副反応にはどのようなものがありますか。
注射した部分の痛み、疲労、頭痛、筋肉や関節の痛み等がみられることがあります。稀な頻度でアナフィラキシー(急性のアレルギー反応)が発生します。ワクチン接種後に、接種した側の脇や首などのリンパ節が腫れることがありますが、時間の経過とともに自然に治ります。
厚生労働省 新型コロナワクチンHPより引用
ワクチン後のめずらしい副反応がありますか?
当院を受診した皆様をみておりますと、持病の症状が悪化することがありました。例えば、脊柱管狭窄症でしびれのある方がワクチン後にしびれが一時的に悪化したり、白衣高血圧症の方が、一時的に、血圧が上昇したり、頭痛の方の頭痛が一時的に悪化したり、胸部不快で通院中の方が胸の症状が悪化したりです。しかしながら、持病の症状が改善することもありました。胸の痛みを病んでいた方がワクチン後に、胸痛が消失した例もございました。
ワクチンによる発熱なのか、風邪による発熱なのかどうすればわかりますか?
ワクチンによる発熱か、新型コロナウイルス感染症かを見分けるには方法があります。それは、咳や咽頭痛、鼻水、味覚・嗅覚の消失、息切れ等の症状が始まっていないかどうかが、手がかりとなります。ワクチンによる発熱では、通常、これらの風邪症状はみられません。咳や咽頭痛、鼻水が出た場合には、風邪による発熱の可能性があります。新型コロナウイルス感染症、インフルエンザ等の可能性があります。医療機関に受診して相談しましょう。
ワクチンによる発熱はどのくらい続けば異常ですか?
ワクチンを受けた後、2日間以上熱が続く場合に医療機関等への受診や相談をご検討ください。また、症状が重い場合、ワクチンでは起こりにくい上記の症状がみられる場合には、医療機関等への受診や相談をご検討ください。
ワクチンを接種してから痒くて赤みが出できてしまった
ワクチンを接種して1週間くらい経ってから、腕にかゆみや痛み、腫れや熱感、赤みが出ることがあります。発疹がかゆい場合は、冷やす、あるいは抗ヒスタミン剤やステロイドの外用薬(軟膏等)を塗ることで症状が軽くなります。ワクチンの副反応であれば、数日で改善します。COVIDアーム(または「モデルナアーム」)と呼ばれることもあります。症状が特にひどい、または数日経過しても軽快しない場合は、皮膚科医にご相談することをお勧めします。
(第64回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会、令和3年度第13回薬事・食品衛生審議会薬事分科会医薬品等安全対策部会安全対策調査会資料より抜粋)
新型コロナウイルス感染による主な後遺症
一方で、ワクチンを恐れるあまり感染してしまうこともあります。新型コロナウイルス感染による後遺症もあります。
1)呼吸器系の症状:
持続的な咳 呼吸困難 胸部の痛み 胸の圧迫感など
2)循環器系の症状:
頻脈 動悸 胸痛 高血圧の発症や悪化など
3)中枢神経系の症状:
頭痛 記憶障害や集中力の低下 疲労感 睡眠障害 視覚や聴覚の異常 めまい
4)消化器系の症状:
腹痛 下痢 食欲不振 味覚や嗅覚の変化・喪失
5)筋肉・関節:
筋肉痛 関節痛
6)その他の症状:
皮膚の発疹や指先の変色(COVID足とも呼ばれる) 髪の抜け落ち 長期的な疲労感
新型コロナウイルス感染によって生じる症状
特にSARS-CoV-2、COVID-19の原因ウイルス、合併症、影響について詳細に説明します。
初期症状:
発熱 咳(乾咳) 呼吸困難 喉の痛み 味覚や嗅覚の喪失 疲労感 筋肉痛や関節痛 頭痛 下痢や胃腸症状
重症化すると:
高熱 重度の呼吸困難 胸の痛みや圧迫感 意識障害
呼吸器系: 肺炎 急性呼吸窮迫症候群 (ARDS) 肺血栓
循環器系: 心筋損傷
脳卒: 血液凝固異常による深部静脈血栓症や肺塞栓症
腎臓: 腎不全
消化器系: 胃腸症状 (下痢、嘔吐、食欲不振)
神経系: 脳炎 髄膜炎 失語症や記憶障害
皮膚: 皮膚の発疹 COVID足とも呼ばれる指先の紫斑などです
最後に
ワクチンの普及は、感染症を予防し、大流行を防ぐための重要な手段となっています。しかし、ワクチン接種後に少数の人々が副反応がでています。これらの副反応は大半が軽度であり、重篤な後遺症は非常に稀であると報告されています。一方で、COVID-19の感染そのものが引き起こすリスクや合併症の可能性を考慮すると、ワクチン接種の利点はそのリスクを大きく上回ると広く認識されています。後遺症に関する懸念や疑念は無視すべきではありません。僕たち田園都市高血圧クリニックができることは、これらの懸念を真摯に受け止め、情報を共有し、必要な場合は迅速に対応する体制を作ることだと思います。
院長